2017年08月07日

痴漢に抗議しない女

紙の新刊です。本日発売の「家庭ミステリー」(ぶんか社)に『女の敵』が再録されています。
配信もされていますが、私の作品以外は別編集ですので、お好みでお読み下さい。

痴漢被害を受けた女性の立場から描いた作品ですが、痴漢冤罪被害を受けた男性の発言も出しています。
双方被害者で悪いのは痴漢です。男は、女はという男女の対決ではありません。痴漢は犯罪です。

作中、被害女性が声を上げることを批判し「真っ赤になってうつむいてろ」と女性の敵に回る女性を
描いていますが、これは実際に聞いた女性の話をヒントにしています。
この作品を描く前に、痴漢に抗議する女性、フェミニストが嫌いと言う女性にたまたま会い、頭に残って
いました。彼女は既婚で子供も順調に育てていました。その上産後早く仕事に復帰し働いていました。
頭がよく能力があり、行動的でした。それなのになぜ女性を批判するのか聞いてみると、痴漢などに
抗議する女性は口だけで、弱くて自立していないから嫌い、私の方が自立している、ということでした。
その女性は私より年輩で、世代的には男女差別が強い時に世に出ています。タフで我慢強く、不言実行
という印象の人でした。「痴漢なんか、黙って真っ赤になってうつむいてりゃ可愛いのよ」とその人が
言うのは、彼女自身がそうだったからです。実力はありましたが、肝心な時に肝心なところで、有力な
男性の協力を得て働いていました。夫を立てて家事も自分でやり、愚痴っぽくもありませんでした。
その人は自立していると思います。口だけで実力が伴わないことへの苛立ちや羞恥は、私も感じます。
口より実行が先、結果を出して初めて認めてもらえる、というのは、昔ほどその通りでした。
しかしその当時に比べると、女性の登用は進み、口に実力が伴う女性は昔より増えていると思います。
この作品を描いたのは、話を聞いた時より10年近く後で、時代の変化を感じていました。ですから話を
そのまま描かず、女性を批判する女性を矮小化して愚かなエゴイストとして描きました。
しかし口先だけというのは、私はやはり恥ずかしいと思います。痴漢被害に遭う主人公は、会社では仕事
は真面目にやり、すぐに投げ出すような人物にはしませんでした。そのくらいでないと見返せません。
よろしければお読み下さい。

posted by 183 at 12:59| 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする