2014年10月27日

体験漫画は難しい

紙の新刊です。本日発売の「本当にあった悲惨な生いたち」(ぶんか社)に『籠の鳥』が
再録されています。お見逃しの方はよろしければご覧下さい。
家庭内殺人を描いています。体験手記の形式を取っていますが、語り手は架空です。
キャラクターの下敷きになっている人物はいますが、漫画の人物は創作です。
体験手記として発表している作品がいくつかありますが、そのまま誰かの生活を描いた
私生活暴露漫画はなく、直接間接に実在の出来事に取材し、創作したフィクションです。
体験が題材になっていますから、体験と言っても差し支えありませんが、普通の作品より
労力をかけていますし、自分の体験を描く話よりずっとハードルが高いと思います。
プライバシーに配慮が必要ですし、取材対象の心理を理解するのは簡単ではありません。
そして、何のために描くか、何を主題とするかを、自分の責任で考えて構成します。
自分がまだ読者だった頃、読者体験漫画は楽だと思い込んでいましたが、初めてやった時
往生しました。直接取材の場合でも、作品が聞いた話と違うため、「私の体験と違う」と
不満を持たれることもありました。そのままでは他の第三者を傷つける恐れもありますし、
主題の明確な、まとまった作品になりません。
体験ものは私生活暴露とは違うということをご理解いただければと思います。
この作品の主眼は、なぜ暴力をふるったかの理解を架空の若い語り手にさせることでした。
興味を持たれた方はお読み下さい。

posted by 183 at 13:23| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする