2016年02月08日

競争率30倍

昨日新人時代の経験を少し書きました。やめる人もいれば、すぐ売れる人もたまにはいます。
そのどちらでもなく、何とかして描き続ける人もいます。そういう場合が多いと思います。
どこの出版社も人気作家は抑えたいので、1年2年前からスケジュールを決めてしまいます。
雑誌のページ数、掲載枠が限られている中で、すでにかなり埋められている隙間に、新人、
前年、さらに前の新人、他社からの持ち込み、などが競い合ってページを取りに行きます。
私の経験では、30倍の競争率だったことがありました。
全体が売れている時は、増刊や新雑誌を出して枠を増やすのでまだ楽ですが、それでも競争
ですし、結果も厳しく査定されます。1つの雑誌で順調に育てばいいのですが、最悪雑誌が
潰れることもあり、編集長が交代して作家を総入れ替えすることもあります。
そこで描き始めたばかりの新人は、違う雑誌に合わせてやり直すしかなくなります。
私も雑誌が潰れる経験を何度もしていますし、専属でもなかったので、新人の頃から複数に
持ち込んでいました。他流試合をした方がいいという編集者もいたので、割り切っていました。
あちこちの雑誌に描いていて、たまに見たことはあっても、どこの人だかわからない、という
漫画家がいるのはそういう事情によります。それでも弱小やエロ漫画やマージャン劇画出身で、
大手に移ってヒットを飛ばす人も、中にはいます。弱小でもヒットを出すことがあります。
大手だけにしがみついてやれる人が少ないという意味では、食えない仕事に見えるとしても、
その周辺の多くの媒体、広告も含めて、全体で、その気になれば何とか描ける生態系のような
ものができています。それが今はネットにも広がり、やりようでは他の仕事との兼業も可能です。
そこで漫画は大手だけでいい、アニメはジブリだけでいいというような、わかっていない人が
権力を持つと、困ったことになります。
エロは潰す、レディコミもエロ、漫画を広告に使うな、
という規制があったとしたら、今いるスターにも、生きてこられなかった人がいます。
ひとつの場所だけで育ち上がってずっとそこにいる人は稀だからです。
特に家庭環境が厳しい人は、とにかく金を稼がないといけない、マイナーでも仕事が続いた方が
いいということもあります。
外からはわからない事情があるのは、どこも同じでしょう。

posted by 183 at 11:41| 漫画けもの道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする