2016年02月11日

迷える子羊はいらない

これからデビューしたいと思っている人はほとんど大手の賞を目指すでしょうから、大手の
体験を書いています。マイナーでデビューしてずっとプロで活躍している人、ヒットを出す
人もいますが、マイナーの新人時代はどうなのか直接知りませんので、触れません。
ただ、最初から仕事が来る、量産が求められる、という話は聞きます。
ところにより時代により事情が違いますので、あくまで一体験者の偏見としてお読み下さい。

仕事をして非常に助けられた編集者は何人かいます。熱意や能力の際立つ人がいる反面、
普通〜ちょっとやりにい、という人もいますが、助けられた人が多かったと思います。
その、普通〜ちょっとやりにくい方の人が、あけすけに本音を語ったことがありました。

どうして才能のない人ほど一生懸命持ち込みをするんだろう。一生懸命やればできると
思っているのかなあ。
いくら没にしても、次々とプロット作って持ってきて、何年も迷惑
している才能ない人がいるんだよ。でもやっと厄介払いできたよ。君はアイデア豊富で
文才があるから小説に向いている、とうまく乗せて、編集者を紹介したの。それで担当が
ついて、喜んでお礼の電話かけてきたんだよ。あ〜、よかった、これでもう相手しなくて
すむ。あ〜、よかった、よかった。プロットなんかも、ちゃんとできて面白いのじゃなく
どうしようもなくてさ、いるんだよね、仕事じゃなくて、悩み相談しに来る人が。
自殺だけはしないでね、迷惑だから。あ、あなたは近いから大丈夫そうだけど、いきなり
遠い田舎から出てきて、どうしようもないプロットにもなっていない紙切れ持ってきて、
延々と悩み相談してさ、夜中も電話かけてくる人がいるんだよ。電話があれば出なきゃ
いけないし、持込みの相手はしなきゃいけないしさ、こっちだって大変なんだから。
出版社は仕事する場所なの、悩み相談所じゃないの。迷える子羊は来ないでほしいんだよ。
行く場所間違ってるんだよね。」

この人は高学歴でまだキャリアが浅く、悩み相談に向く人ではありませんでした。
持込み担当だったので、本当にきつかったのかもしれません。

迷える子羊と言われるような人が来る理由はわからなくもありません。少女漫画が、長年、
ドジで間抜けで美人でない少女が、愛されて成長し幸せになる物語を売ってきたからです。

雑誌には編集者が名前を出す企画や漫画もあり、親しみを感じさせます。
出版社に行けば、助けてくれる優しいお兄さんがいるという幻想を抱かせます。
編集者に「抱いて」という葉書を送りつけた女性もいました。見せてもらいました。
単刀直入にお金を借りに来る漫画家もいますし、色々な苦労があるだろうと思います。

確かに親切にしてもらった編集者はいます。しかしそれは、編集者が作りたいと思う
漫画の作者として認められる圏内にいたからです。
担当が変わり、部署が変わり、退社すれば、ほぼ連絡はなくなります。
自分も連絡しなくなります。編集者とは仕事をしたいのです。
雑談も仕事のうちです。そこからそれやりましょう、という話になることがあります。
悩みのある人が出版社に相談に行っても期待外れになります。
企画書が面白ければ別です。


これ以前の「漫画けもの道」はHPに一覧にしています。
http://www.shinobumakimura.org/blog/
posted by 183 at 12:11| 漫画けもの道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする