2016年06月04日

スパルタ編集

肝心なことを忘れていました。これから漫画を本格的に描こうと志す人には興味ある話だと
思いますので、まとめて書かせていただきます。

今はネットで漫画を公開でき、販売も個人でできます。出版社からいきなり単行本化される
幸運な人もいます。誰でも色々な形で作品を発表できるのはいいことだと思います。しかし
ネットだけでは鍛えられません。基本を教えてくれる人がいないからです。やはり投稿した
方がいいですし、その前に学校で学んでもいいでしょう。

私はネットも使い、大手でもマイナーでも描いてきましたが、特にデビューした大手で厳しい
打合せに苦しみました。まず、一度でネーム(台詞入りのラフ)が通ることはなく、全く別物
と言っていいほど大幅な修正を求められ、頭が混乱し、自分を否定されたようで感情も傷つき、
修正する気力が萎えてしまい、しばらく休まないと取りかかれないこともありました。

以前、タイトル20本出し、という話を書きましたが、内容も、ネーム5回直し、完全な別物に
作り直し、ということもありました。内容の練り直しもあれば、コマ割りや見せ方、言葉遣い
の修正もあります。絵ができてからの描き直しもあります。大物になると、担当編集者にも
よりますが、修正されなくなると聞いたことがあります。しかし最初のうちは、自分の作った
ネームは跡形もなく壊されるものと覚悟した方がいいでしょう。あえて完成していない大雑把
なネームを出して、編集者と打合せながら作る人もいます。そのやり方に慣れて、別の会社で
未完成のネームを出したら怒られた、という話も聞きました。最初に打合せのやり方を確認
した方がいいと思います。

それ以前に厳しく注意されるのは、パクリです。私がたまたま読んだばかりのベストセラーの
話を打合せで出したら「それをなぞってどうするの?」と編集者に言われました。なぞる気は
なく、話のつかみに出しただけなので、そう説明しましたが、ヒットしたドラマや有名な小説
や映画のストーリーをすぐ連想させる話は、通りません。著作権法では問題にならないような、
おおまかな設定やストーリ―の類似でも、勉強している編集者ほど敏感で、嫌います。
著作権法の線引きとは別で、よほど自分のオリジナリティが図抜けていないと評価されません。
同人出身や、大手経験のない人には、いつまでたってもパクリに無頓着な人がいます。大手に
持ち込んで、プロと認めない、と言われた人もいますが、教育が違うので仕方ありません。

コマ割りも、やはり大手が厳しく、バストアップと台詞ばかりというコマ割りでは通りません。
1〜2ページバストアップ(上半身だけ)では必ずリテイク(直し)になります。下絵まで描いて
見せて、バストアップが多いとリテイクです。量産する人には、バストアップだけで40ページ
といった、露骨な手抜きのコマ割りをする人もいますが、大手では時間がなくても直されます。

特に直しが多い編集者との仕事に慣れて、自分でネームができなくなり、他社への持ち込みに
ひるむ人もいます。自分でネームを切らせる編集者とも仕事をした方が、バランスが取れます。
配信に使っている作品は、ほとんど自力で作ったものですが、それができたのは最初に基本を
教えてもらえたからで、感謝しています。
posted by 183 at 14:04| 漫画けもの道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする