2017年01月07日

女の皮をかぶったエゴイスト

紙の新刊です。本日発売の「家庭ミステリー」(ぶんか社)に『偽装する女』が再録されています。
美貌と女らしさを売りものに男性の気持ちをつかみ、利用しては捨てるエゴイストを描きました。
その女性を憎みながら秘かに罠にはめる女性も、同じ穴の貉ですが自分では気づいていません。
私はどちらの女性も同情的に描かず、とことん突き放して利己心むき出しに誇張しました。
男性が幻滅するような内幕暴露かもしれません。
しかし女性の利己心に手を焼くこともあるでしょうから、或は気味がいいかもしれません。
実は、こうした乾いたシニカルな話は好きです。
読者に好まれなければあまり描けません。一般には感動ものや社会派の方が人気があります。
個人的な好みを生かせる仕事はあまりないのですが、たまたま楽しくできました。
今回の再録に当たり絵と台詞の一部を修正しています。
よろしければご笑覧下さい。

家庭ミステリー 2017年 02月号 [雑誌] -
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2016年12月07日

意識高い系パート

紙の新刊です。
本日発売の「家庭ミステリー」(ぶんか社)に『女帝』が再録されています。
子育てに専念している専業主婦の女性が、ママ友とのつきあいにうんざりし、再就職して成長したい
と願い、夫を説き伏せてパートで勤めに出ます。しかし一見真面目に見える同僚のサボリや男女関係
に苛立ち、人間関係がうまくいきません。彼女は真面目には違いな、く向上心も強いのですが、他人の
気持ちや要求を無視して自己流の正義を押しつけて嫌われます。
いわゆる「意識高い系」と揶揄されて疎まれるような女性です。
しかし笑って読めるように作っています。台詞は一部現代に合わせて修正しています。
よろしければご笑覧下さい。
http://amzn.asia/czaUGIo

posted by 183 at 13:33| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月07日

バカ親から貧困の連鎖へ

紙の新刊です。
本日発売の「家庭ミステリー」(ぶんか社)に『家なき子』を再録していただきました。
一部編集様と打ち合わせの上ネームを変更しています。
初出と再録では担当が違い、雑誌も違い、新たに組まれた特集の企画も違い、時代の変化もあり、
必要と考えた修正を行いました。
初出の時はまだ消費税も上がっておらず、景気も売り上げも今よりよかったので、家庭の問題を
取り上げる時「バカ親」、「バカ母」という言葉がよく使われていました。親のエゴに原因を求め、
子供のためにどうすべきかを「漫画なりに」描いていました。この作品も「バカ親」特集でした。
ラストは、お金持ちやお人好しの男性が助けてくれるお伽噺ではなく、厳しいバッドエンドに
してほしい、という注文に応じて(それはそれで大変)何とかまとめました。
今は現実がさらに深刻化し、子供の6人に1人が貧困という数字もあります。親の人格を責めるだけ
では足りません。真面目でも低所得の人が増え、努力で覆せない貧困の連鎖が問題になっています。
雑誌はそれに合わせて編集されています。真面目でも低所得の家庭の生活を描いた作品が必要です。
しかし善良な貧困家庭だけでは、貧乏人=善人は非現実的だという反発もあるでしょう。
親のエゴを描いた私の作品は、バランスを取るために収録されたのではないかと思います。
貧困と一口に言っても、様々な家庭の事情があります。
単純に「バカ親」、「自己責任論」で括れないことは確かだと思います。
漫画も時代の空気を意識しながら作られています。創作もそうですが、編集もそうです。
ご興味をお持ちの方はお買い求め下さい。
なおカラーはモノクロになっていますが、カラーはHPのGallery4列5番めに上げています。
http://www.shinobumakimura.org/gallery/
posted by 183 at 11:20| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月14日

母の呪い

本日発売の「女の不幸人生」(ぶんか社)に『誕生日』を再録していただきました。
お見逃しの方はぜひご覧下さい。

母親と長女の長年の諍い、和解に至るまでの心の動きを1日の出来事に畳み込んで描いています。
初めての子育てと姑との不仲で追い詰められた母親が、長女に当たり、言葉で罵り体罰も加え、
心理的にも長女の自尊心を深く傷つけてしまいます。
成長した長女は母親から離れて結婚し、子供を産みますが、受け入れることができません。
幼い頃に愛された記憶がなく、今も母親に頼れません。
読者の方からも、共感したというご感想を多くいただきました。
特に長女と母親の間に、ありがちなことだと思います。
それを1日の出来事として回想を交えて再構成し、過去を理解して前に進む形で描きました。
32ページで筋をすっきり通してまとめることは簡単そうで難しく、冒険でした。

この作品はサンプルとして個人配信していますが、著作権問題があるため表紙は描き替えており
今回の再録とは違います。雑誌の原稿は、当時予定がつまっていて、表紙を最後に残し、1時間で
描き上げたもので、今で言うワンドロ、簡単にキャラクターのみを見せる絵になっています。
心残りがあり、配信の表紙はカラーで力を入れて描きました。
カラー扉はHPでご覧いただけます。クマのぬいぐるみを抱いた少女の絵です。
http://www.shinobumakimura.org/digital-gallery/
PDFはこちらです。
http://www.shinobumakimura.org/
配信版のDLはこちらからもできます。
http://www.dlmarket.jp/products/detail/360827
http://p.booklog.jp/book/107221
個人配信と印刷された雑誌は読者が異なるため、配信はそのまま続けて構わないというお話で、
配信作品の再録をお受けしました。勿論画質は印刷の方がきれいですので、ぜひお買い求め下さい。
http://books.rakuten.co.jp/rb/14434467/
posted by 183 at 09:48| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月26日

子供の異性関係

今月21日発売の「別冊家庭サスペンス」(セブン新社)の見本誌が今日届きました。発売日だと
思ったら、21日発売でした。
私も確認が遅れ、発売日を失念してご迷惑をおかけしました。
まだ在庫がありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

大学生の息子の就職も内定し、安心したのも束の間、息子が連れ込んだ若い女性が未成年だったため
思わぬトラブルになる『悪い虫』が再録されています。ネームの一部に変更がありますがストーリー
は変りません。ヒロインは生活に不自由ない主婦、息子が連れてきた女性は素性もわからず、基本的
な礼儀作法も、日常生活の躾もできていません。息子は遊び相手のつもりでも、彼女は真剣に認めて
ほしいと思っています。その気持ちを読み取ってもらえず、親子に追い出されて復讐に出ます。
傍から見ればとんでもない「悪い虫」でも、気持ちを読み外さなければ話ができる機会はありました。
それがわかるように描いています。
子供の恋愛も難しい問題だと思います。
ご興味をお持ちの方は、よろしければご覧下さい。
posted by 183 at 18:55| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月29日

親は派遣、子はいじめの標的

本日発売「ご近所の怖い噂」(ぶんか社)に『嘘つき』が再録されています。
派遣で寮生活をする父親と、パートの母親も不在の家庭で、孤立していじめられ、犯罪の濡れ衣を
着せられた娘のリベンジを描きました。ネームを修正していますので、よろしければご覧下さい。
リベンジの仕方も色々あり、お金持ちに愛されて貧困から抜け出す、というシンデレラストーリーが
女性には受けますが、この作品では、自力で敵の弱みを見つけ出して戦います。大企業も倒産する
変化の大きな時代に、一時期職を失う、派遣で働くからと言って、能力がない、人格に問題があると
いうわけではないことを強調しかたっかからです。単なる甘いご都合主義とは違います。
家族の危機を通して大切なものを再発見する物語としてまとめました。
usotuki.jsai7260.jpg
posted by 183 at 13:00| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月12日

親族の恐怖

紙の新刊です。
本日発売の「女の不幸人生」(ぶんか社)に『シンデレラの姉』が掲載されています。
この作品は再録を重ねていますので、今回再考してラストの2頁を描き直しました。
一部のコマがすっかり別の絵と台詞に変わっています。描き込んだ原稿にそこまで手を加えることは
できませんので、Clip Studio Paintで該当部分だけ描き変えました。印刷でも違和感なく出ており、
ほっとしました。話の流れに大きな変化はありませんが、結末をはっきりつけています。
表紙はモノクロになっていますので、カラーに手を入れてHPにアップしています。
http://www.shinobumakimura.org/gallery/
トップページの左サイドバーにもショップへの画像リンクがあります。
anep.jpg

タイトルから推察できるように、姉の妹への嫉妬、金銭をめぐる親族間の争いを描いています。
同じような話が最近よくありますが、この作品は10年近く前のもので、アイデアは私の独創です。
親族間の盗みに刑罰がないことが、争いを深刻にしていることを強調しています。
初出当時はそれゆえに、身内をすっきりと排除することもできず、悩む胸中を描いて終えています。
これが他人なら追い出すことは難しくありません。もっと簡単にハッピーエンドにできます。
それができない場合どうしたらいいか、悩みながら考えて描いた作品でした。
簡単な設定でハッピーエンドにする方が得ではありますが、それも手の内が見え透いてしまうので、
あえてそうしませんでした。大人の読者には安易な落ちでは通用しません。
今になって、私自身の直接間接の経験も増え、殺さなくても人に心理的な恐怖を与えることができる
と考えるようになりました。それによって、結末を一歩前に進めることができました。
一つの作品に納得いかず、時間をかけて決着をつけることもあります。
よろしければお読み下さい。

posted by 183 at 11:54| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月14日

不倫の言いがかり

紙の新刊です。本日発売「女の不幸人生」(ぶんか社)に『癒されない!』が再録されています。
これは20世紀の遺物です。病み上がりのリハビリ中で、絵が固くデッサン狂いがあります。
顔はトーンを貼ってしまっているため修正は難しく諦めましたが、目立つ背景の一部をクリスタ
で描き替え、ネームも一部修正しています。

不倫などしていないのに、第三者の思い込みで不倫相手と誤認され被害を受ける女性を描いて
います。事実誤認による第三者の嫌がらせというのは私も経験があります。特定できないように
嫌がらせを繰り返したため、対応が難しく、泣き寝入りでした。この作品では、親しくなかった
近所の女性が運よく理解者、味方になってくれたことで解決しています。しかし解決することの
方が現実には少ないでしょう。

確かに裏切られて傷ついている人は被害者としての苦しみが深いと思いますが、無関係な他人に
怒りをぶつけやすくなります。ぶつけられた人も満足な人生を送っているわけではなく、場合に
よっては自分より重い苦しみを抱えているかもしれません。他人への想像力を持たなければ交流
はできません。そういうテーマで何度か描いています。通り魔、無差別殺人は最悪の帰結です。
そういう悲劇に至る前に限られたページ数で解決していますが、被害妄想の怖さを読み取って
いただければ幸いです。被害妄想の被害者も、周りに助けを求めることが必要です。
女の不幸人生 vol.32(まんがグリム童話 2016年7月号増刊) [雑誌] -
女の不幸人生 vol.32(まんがグリム童話 2016年7月号増刊) [雑誌] -
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2016年04月22日

反面教師のヒロイン

4月21日発売の「別冊家庭サスペンス」(セブン新社)に『息子が恋人』が再録されました。
新書サイズの雑誌に掲載するため、通常の原稿サイズでは細部が潰れるので、原稿用紙も
小さいものに替えて描いた方がいい、と編集者から指示されて描いたものです。
再録の雑誌は初出よりサイズが大きいA5判のため、やや線が太く見えますが、ご容赦下さい。

恋愛経験のない女性が、失敗を恐れ、浮気しないと思った地味な容姿の男性と見合い結婚し、
裏切られ、息子を溺愛して理想通りに育てようとしますが、都合よくいかず破綻します。
ラストは編集側の要望に応えてアンハッピーエンドにしていますが、私のオリジナルです。
地味な男性と結婚すれば浮気されない、と思って失敗した女性の話をヒントにしています。
イケメンは遊び人で地味なら安心というのは間違いだと、私も経験上断言しますが、最近
たまたま読んだ宮台真司さんの『日本の難点』にも同じことが書いてあって、なるほどと
思いました。彼が取材したナンパ師の男性は皆地味な容姿で安心感を抱かせるそうです。
イケメンの方が遊び人と思われて女性に避けられていたそうです。そこを勘違いする女性
は見る目がないということでしょう。安心感を抱かせる、これが肝心です。またまめさも
大切です。まめで安心できる人がもてないわけもなく、まして遊ばないとは言えません。

ヒロインは自分が安心して暮らせることを第一条件に考え、常時そのために家族を管理
しようと心理的に圧迫しています。経済力に裏打ちされた発言力も持っていません。
愛情を持って献身しているように見えますが、全ての行動が自分の安全を守りたい利己心
から出ています。それは子供も夫も感じています。
難しい問題提起をしても32ページで解決するのが基本ですが、無理にハッピーエンドには
せずにヒロインを反面教師とする、一息つける結末にする、アンハッピーでも救いを入れる、
など様々なラストの作り方があります。この作品はヒロインを反面教師として描きました。
読後感の良いハッピーエンドではないため、好き嫌いがあると思います。
ご興味をお持ちの方は、どうぞよろしくお願いいたします。

posted by 183 at 11:15| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月14日

デジタルで加筆再録

本日発売の「女の不幸人生」(ぶんか社)に『淋しくないの?』が再録されました。
小学生の子を持つ共働きの両親が、定員オーバーの学童保育を利用できず、親同士の協力も
うまくいかず、放課後の預け先を確保するのに苦心します。子供の視点から気持ちを描き、何が
肝心かが伝わるように工夫しました。
私自身保育園育ちで、最初からその環境が当然と思っていたため、淋しい、家庭が壊れるという
感覚はありませんでした。途中から環境が変化する時は、丁寧な説明や配慮も必要だと思います
が、預けることが悪だとは思いません。ただし帰宅時間や子供との約束を守ることは大切です。
残念ながら学童保育の不足を取材して描いた15年前と今と状況があまり変わらず、内容には変更
を加えていません。しかし絵の一部をデジタルで修正し加筆しています。印刷に違和感がないか
心配でしたが、きれいに出ており、どこに手を入れたか全くわかりません。
処理して下さった担当編集者様と印刷所に感謝します。
よろしければご覧下さい。





posted by 183 at 11:26| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月20日

男尊女卑の客

紙の新刊です。本日発売の「別冊家庭サスペンス」(セブン新社)に『夫の友達』が再録
されました。
夫は特別男尊女卑ではなくても、夫の友達や家族が妻に対して、身分の低い嫁扱いをする
ため、我慢を強いられる共働き女性の悩みを描きました。これは20年近く前の旧作で
再録できるかどうかは編集者の判断です。掲載していただけてありがたく思いますが、
通用するかどうかは少々不安でもあります。ネットで見る限り、嫁という言葉自体が嫌だ
という人もいますので、共感していただけるのではないかと思います。

客に対しては誰でもある程度までは我慢するでしょうし、だからこそ特に女性に対しては
客の甘えも出ますが、それにしても限度というものがあります。商店でさえ出入り禁止に
される客はいます。家庭では妻が思い切って抗議しても、夫が味方をしてくれないと決着
がつきません。最後はスッキリするよう心だけましたが、現実には難しいと思います。
それでも、夫は妻の味方であってほしいという考えで描きました。
なおこの作品は、ガチ保守担当でないから描けました。担当編集者の考え方や好みも反映
されますので、そういうところも想像してお楽しみいただきたいと思います。
担当編集者については「漫画けもの道」の「ガチ保守編集とフェミ編集」をご参照下さい。
http://www.shinobumakimura.org/blog/

posted by 183 at 11:29| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月13日

アンハッピーエンド

紙の新刊です。
本日発売の「女の不幸人生」(ぶんか社)に『侵食』が再録されました。

私がHPに紹介している昨年の掲載誌は在庫が減り、売り切れた雑誌3点は削除しました。
お買い上げの上、感想を書いて下さった方もいらっしゃいます。ありがとうございます。
既刊在庫リストはHPのWorksにまとめてあります。在庫がなくなり次第削除します。
http://www.shinobumakimura.org/works/
宣伝がないと売れようがありませんので、HPがあるならやるしかありません。

『侵食』は16年前の作品です。人気のTVドラマに、危険な男性に恋する女性が目立ち、
そういうドラマに惹かれる女性の心理を描こうと思いました。会社勤めで生活はできて
いるのに、男性とのつきあいはうまくいかず、自分でそれと気づかずに歯の立たない相手
に惹かれて執着し、破局に至って、やっと自分の深層心理に気づく、という結末です。
一度気づけばみすみす同じ過ちは繰り返しませんから、ハッピーエンドのラブロマンスで
なくても、納得のいく話にはできます。
一般に大手では、読者は大団円を望みます。紆余曲折はあっても、破局が結末というのは
例外だと思います。大手なら、こうした企画そのものを出すこともありませんでした。
しかし、失敗しないと反省もないという意味で、アンハッピーであっても、納得がいけば
いい、という作り方の雑誌もありました。大手ではありませんが、アンハッピーエンドで
売っていた雑誌に描かせていただきました。
短いページに屈折した話を詰め込み、結末は破局ですから、難しくはありました。しかし
巻頭カラーならともかく、カラーのない短編で無難な万人受けする話を描いても、役割を
果たすことにならないと、当時私は考えていたので、あえて思い切ったことをやりました。
カラーなしの時は無難な話を描かないようにしていたので、外してしまったこともあった
と思います。それが迷惑か、その方が無難よりいいかは、編集者の判断することです。
どちらかといえば、それでも使っていただけた方だと思いますし、感謝しています。





posted by 183 at 13:10| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月24日

報道被害の実例

紙の新刊が重なります。
本日発売の「本当にあった悲惨な生いたち」(ぶんか社)に『噂の悪女』が再録されました。
この作品は、知人から聞いたある事件の誤報による被害体験をヒントにしています。
しかし事件を漫画にしないことを条件に詳しい話を聞いたため、あくまで実話は参考に止め
別の事件を考え、人物も人間関係も、性別も年齢も全て違う物語にしています。ただし報道
被害が起きる理由だけはわかるように細かく描いています。その事件では、被害者や加害者の
家族も親しい人たちも、当事者を守るために取材協力をしなかったため、一部の、当事者を
よく知らない人、距離のある人、個人的にマスコミに出たい欲のあった人がスピーカーになり
そこから事実と異なる話が拡散され、繰り返し尾ひれのついたゴシップが流され、漫画にもなり
今でも最初の誤報による事実と違う物語が流れています。だからといって後から否定して回る
こともできません。脅迫、パパラッチの被害が周辺の子供にまで及んでいました。
関係者が取材に応じる、家族が表に出る場合は、これよりは正確な報道になると思いますが、
それでも周辺の取材では誤報は避けられないと思います。
事件が報道された早い段階から、周辺の人も含め嫌がらせを受けるようなことがなくなるよう
願って描きました。作中では家族の関係は、絆が強まったことにしています。
これは実はヒッチコックの「鳥」がヒントになっています。不仲の女性同士がパニックに襲われ
闘ううちに絆ができる結末は、ファンタジーかもしれませんが、そうあってほしいと思います。

「恐怖の快楽」(ぶんか社)には『女の武器』が再録されています。
こちらは、会社での噂が元で失脚する話です。噂は事実とは違うのですが、影響が大きいため
トラブルを恐れて始末されてしましました。これも完全なオリジナルストーリーですが、噂が
元で会社を辞めさせられた実例をいくつか知っており、それを前提に考えました。
作中では、噂を流された人物が女性を傷つけているので自業自得に見えるように描いています。
しかし、全く誰も傷つけていないのに社外であらぬ噂が立ち辞めさせられる、或いは、一方的な
恨みを受けて噂を流され閑職に移される、ということもあります。噂の早飲み込みは禁物です。
昔から、ネットがなくても噂成敗ということはありました。ネットのせいとはいえません。
2作が同日に発売されたので、そこがわかりやすくてよかったと思います。

posted by 183 at 12:07| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月20日

リストラ間際独身女性の暴発

紙の新刊です。
本日発売の「別冊ご近所の悪いうわさスキャンダル」(宙出版)に『腐った果実』が再録されました。
結婚を急がず仕事を続け、成果もなく30歳を過ぎ、リストラの対象になる女性の心理を描いた
作品です。唯一相談に乗ってくれる上司に甘え、自暴自棄になって予想外の破局を招きます。
悪いのは本人ですが、意欲を持っていた時にはチャンスがなく、無意識に募らせていた怨嗟が
男性を巻き添えにして爆発したと見ることができます。上司にも妻にも罪はなく気の毒ですが、
恨みや憎しみは連鎖して広がっていく、ということを伝えたいと思いました。
まだ職があり、今見れば恵まれた環境にありながら、みすみす腐っていく女性社員の閉塞感に
共感して下さる方もいらっしゃいました。私自身もそうした閉塞感と無縁ではなく、会社員を
描いた作品に、自分の体験を生かしています。
実はこの作品はデジタルで配信するつもりでしたが、再録が決まったため予定を変更しました。
HPトップにカラー扉絵を上げています。Galleryで大きい画像をご覧いただけます。
http://www.shinobumakimura.org/
お見逃しの方はぜひご覧下さい。


posted by 183 at 01:07| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月07日

悪銭身につかず

紙の新刊です。
本日発売の「家庭ミステリー」(ぶんか社)に『悪銭』が再録されました。
経済的な問題で進学費用の足りない家庭に、善意からお金を貸した夫婦が裏切られます。
タイトルの悪銭は、悪銭身につかずという諺から取りました。楽して得たお金はすぐ消える
という実感があります。しかしこの場合は、裏切られ苦労を背負ったことが幸いします。
困ったことが起きて不幸の連鎖が広がる、という展開ではなく、誰も不幸にならない話
を描きたいと思い、考えました。
よろしければご覧下さい。


posted by 183 at 12:50| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月17日

雇う側の事情

紙の新刊です。
「怖い女の仕返し」(ぶんか社)に『同情を引く女』が再録されました。
同じ職場の同僚だった男性と結婚し、起業した夫の手伝いをしながら家事もしている妻が、
予定外の妊娠で働けなくなり、代りに短期間の契約でアルバイトを採用して、その女性に
振り回されて悩む、というお話です。
日頃雇われる側、弱い立場から発信することが多いのですが、漫画家も人を使うことがあり
雇う側の事情を考えながら描きました。
作中では、アルバイトの女性が最初だけ猫をかぶり、相手の立場を無視して自己主張だけする
エピソードを繰り返しています。具体的に書くわけにいきませんが、これに近い人はいます。
確かに雇われる側が圧倒的に弱いのですが、困っているから人に仕事を頼んでいる、つまり、
相手も困っている、という基本的な理解が、働く上では欠かせないと思います。
最初慣れないのは仕方ないことで、想定していますが、慣れてもできるだけサボって働かず、
お金だけ欲しいという態度をむき出しにする人は困ります。
私は交通費を申告してもらい、全額支払っていましたが、9時を過ぎるとバスがないという
女性に、仕方なくタクシー代を払っていました。しかし数年たってから騙されていたことを
知りました。バスがないというのが嘘で、毎回バスで帰りながら2000円近いタクシー代を
騙し取っていたのです。
しかも仕事中は、目を離すと自分の同人誌を描く人でした。断りたいので声をかけないと、
向こうから仕事がないのでお願いしますと泣きついて、あちこちで迷惑をかけていました。
これはネットでバスの時刻表が検索できなかった時代の話です。
必要な人、助けてくれる人であれば、多少の難があっても融通して、働いてほしいと思います。
よろしければご覧下さい。


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2014年11月22日

キレないために

紙の新刊です。本日発売の「恐怖の快楽」(ぶんか社)に『証言』が再録されています。
実際にあったママ友同士のトラブルから起きた、複数の類似の事件を念頭に置いて描いた
創作です。特定のモデルはありません。
2人の友人の間が対等でなく、一方が常に支配的なため、抑えられている方が小さな怒りを
ためこんでき、それが些細なきっかけで爆発して、キレた、と言われる復讐をします。
なぜそんな極端な行動を取ったのか、それだけでは他人には理解できません。
だから、仕返しをされた支配的な人物が、ことさら悪人なのだと思われてしまいがちです。
実際ママ友同士の事件が起きると、復讐した加害者に同情的な人が少なからず現れます。
「傷ついていた加害者の気持ちがわかる」と言うような人たちです。
しかし両方をよく知る人から見れば、加害者は悪人とは言えず、被害者に問題があります。
関係を壊したくないために、小さなことで自己主張しない依存と恨みの蓄積が、気づかない
うちに爆発寸前まで膨れ上がっていました。
自己主張できないのは、迎合しないと捨てられる、自分には価値がないと思うからです。
作品の主人公の主婦は、その事件の2人と交友があり、どちらとも親しくはならず、従属せず
我が道を選んでいました。それは、家族の支えもあってのことです。
家族間でも、誰かが自分を殺した支配被支配の関係にならないよう気をつけたいと思います。
こうしたテーマに関心をお持ちの方はお読み下さい。









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2014年10月28日

体験漫画も色々

紙の新刊が続きます。
本日発売の「ご近所の怖い噂」(ぶんか社)に『こんな女に誰がした?』が再録されました。
絵の修正とネームのチェックが入っており、細かいところは初出と微妙に違います。
この作品は、遺産相続をめぐる実在する女性の体験談を題材として生かしていますが、設定や
キャラクターは完全なフィクションで、初出ではオリジナル作品として発表したものです。
遺産相続では、嫁いだ女性が相続を放棄する例が多く、損をしたという気持ちを抱いている
女性も身近にいます。そのために他の女性に相続放棄を要求したり、後から金品を要求したり
というトラブルも起こります。そうした実際の相続トラブルによる女性の被害体験を取材して
考えました。その意味で体験漫画と言えますが、人物は架空です。そうしないと迷惑です。
普通の漫画でも、ある程度実際の出来事に取材している場合があります。特に明確な区別がある
わけではありません。いずれにせよ体験そのまま、人物が実在するということはありません。
しかし、今の現実の生活に取材していますから、絵空事ではありません。
体験漫画が読まれるのは、起伏とリアリティがあるからだと思います。
よろしければご覧下さい。


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2014年10月27日

体験漫画は難しい

紙の新刊です。本日発売の「本当にあった悲惨な生いたち」(ぶんか社)に『籠の鳥』が
再録されています。お見逃しの方はよろしければご覧下さい。
家庭内殺人を描いています。体験手記の形式を取っていますが、語り手は架空です。
キャラクターの下敷きになっている人物はいますが、漫画の人物は創作です。
体験手記として発表している作品がいくつかありますが、そのまま誰かの生活を描いた
私生活暴露漫画はなく、直接間接に実在の出来事に取材し、創作したフィクションです。
体験が題材になっていますから、体験と言っても差し支えありませんが、普通の作品より
労力をかけていますし、自分の体験を描く話よりずっとハードルが高いと思います。
プライバシーに配慮が必要ですし、取材対象の心理を理解するのは簡単ではありません。
そして、何のために描くか、何を主題とするかを、自分の責任で考えて構成します。
自分がまだ読者だった頃、読者体験漫画は楽だと思い込んでいましたが、初めてやった時
往生しました。直接取材の場合でも、作品が聞いた話と違うため、「私の体験と違う」と
不満を持たれることもありました。そのままでは他の第三者を傷つける恐れもありますし、
主題の明確な、まとまった作品になりません。
体験ものは私生活暴露とは違うということをご理解いただければと思います。
この作品の主眼は、なぜ暴力をふるったかの理解を架空の若い語り手にさせることでした。
興味を持たれた方はお読み下さい。

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2014年10月24日

中年盛ガール

紙の新刊告知です。
本日発売の「恐怖の快楽」(ぶんか社)に『不幸な私 幸福な彼女』が再録されています。
若干の修正が入っていますので、よろしければご覧下さい。
同級生だった2人の女性ブロガーの1人は介護体験を、1人はモデルで趣味を書いています。
人気を得ているのは華やかなモデルのブログで、コメントを入れても無視されます。
同級生の仲立ちで再会すると、意外な事実がわかります。
同じブログでも、暗い感情を誇張してぶつける人もいれば、感情を隠している人もいます。
見かけからわからない面があるのは当然で、単純な思い込みはできません。
盛ガール、という言葉もあるように、見栄を張って偽装する人もいます。
http://woman.mynavi.jp/article/130619-014/
私自身も経験しているネットならではの屈折を生かして人間関係を描きたいと思いました。
自分だけがつらい、と思うのは、ありがちなことですが、禁物だと思っています。

posted by 183 at 14:03| 作品解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする